近年,寿命の延伸や出生率の低下により,先進国を中心に世界中で高齢化が進んでいます.
老化の進行は筋肉量を減少させ,バランス能力の低下を引き起こすことで転倒事故などの怪我や死亡リスクを高めます,
その対策としてバランス能力と関係の深い重心動揺に関する研究が注目を集めています.
先行研究では,肌へ触覚刺激を与えて重心動揺の変化を調査する研究が主に行われていますが,装置が大型化するなどの欠点がありました.
そこで,本研究では耳への聴覚刺激に注目しました.音を提示したときの重心動揺を評価することで,聴覚刺激とバランス能力の関係性を解明することを目的としています.
実験では,不安定状態の人にヘッドホンから音を与え,COP(Center of pressure)の時間経過を記録しました.
得られた軌跡データより,重心動揺軌跡距離と重心動揺面積を算出して重心動揺を評価しました.