発声における音程コントロールの熟達支援

歌唱力を向上,もしくは逆に音痴の改善には何をする必要があるのでしょうか.音痴である原因としては,タイミングや声の音色,音程と様々な要因が考えれます.そして歌唱力の向上のためには,それぞれの要因についてトレーニングを行い改善していくことが必要です.

音痴の原因となる様々な要因がある中で,私は発声における音程(pitch)のコントロール能力の改善に着目しました.カラオケなどで歌っているときに出したいときに,声域的には出せる音程なのに,出したいと思ったを正確に出せなかったという経験はありませんか.ここで重要なので,発声においてある音高からある音高へ音程が変化するとき,自分の声が目標の音程に正確に遷移できているかです.ここで音程コントロール能力とは目標の音程に正確に遷移する能力としています.つまり歌唱力のある人は目標の音程にスムーズに遷移できますが,歌唱力のない人は遅延時間やオーバーシュートが大きいのではないかということです.

音程コントロール能力を向上させるには,目標の音程とのずれを何らかの形で歌唱者に知覚させる必要がありますが,発声という行為に対して何らかの力覚を与えることは困難です.そこでカラオケのように音高を視覚的に表示する視覚フィードバックの導入です.しかし,ここで考えるシステムは音高をそのまま表示するようなものではなく,人によって表示される音高の変化のしやすさを変えていくことで,音程コントロール能力をサブリミナルに熟達させることが可能となるのではないかと考えました.

本研究の目的は,歌唱者の音程コントロール能力に合わせた視覚フィードバックの提示です.視覚フィードバックされる音高のダイナミクスを歌唱者によって変えることで,歌唱力の個人差を考慮した音程コントロール能力の熟達の実現を目指しています.

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