crlweb 触覚技術を用いた研究は医療，VR，通信，教育など多くの分野に応用されている．物体表面の触覚情報をレンダリングすることは触覚分野において主要テーマの一つである．私はテクスチャレンダリングにおけるデバイス面の課題に着目した．既存研究では硬質な道具を介した単一刺激によるものや単一接触点への複合的な触覚提示が行われていないため，実物体に触れたときと同じ体験がそもそも得られないような設計になっている．
そこで私は単一接触点に複合的な触覚提示が可能な装置を開発した．装置の詳細を以下の図に示す．
このデバイスを用いることでなぞり動作に応じて複合的な触覚提示を行うことが可能である．パラメトリックイコライザを用いた振動モデリングによって物体表面の粗さを振動でレンダリングし，なぞり動作時に生じる摩擦熱をペルチェ素子を用いてレンダリングすることが可能である．
今後，この装置を用いて複合的な触覚提示が与える粗さの知覚変化についての調査を行う．そして，その知覚特性を個人ごとにモデル化し，個人差を考慮した知覚特性に基づくレンダリングを行う．複合的な触覚提示と個人ごとの知覚特性の考慮により，単一刺激では再現が困難な材質の再現を目指す．
