ヒトの協調作業時に生ずる「気づかい」を用いたチームワークアシストの実現

研究者:佐々木元気

ヒトは他者と協力したり補い合うことで生活をしており、高度な文明を発展させてきました。このことからヒトは動物の中でも非常に社会的な生き物であるということがわかります。ここで、ヒトはなぜ他者と協力したり、補い合うことができるのでしょうか?

その理由を解き明かすために多くの研究が近年なされています。例えば、ヒトが他者と協力して机やソファなどを運ぶ際に、相手を補う行動(Joint Action)を取ることが確認されており、補う行動を取ることで作業パフォーマンスを向上させています。将来的には、この行動をロボットに搭載することでヒトと協調できるロボットが実現可能であると期待されています。

ここで、ヒトには個人差があるので他者と協力する際に、タイミングや息、力加減、意図がマッチするときもあれば、そうでないときもあります。これまでの研究では、ヒトがなぜ他者と協力できるのか?について一般的な性質を解明してきました。しかし、実際に応用する際には、個人差を考慮する必要がでてくるでしょう。そこで、私達の研究では、ヒトが他者に対して「気づかい」を生じさせることに着目しました。相手が変われば「気づかい」も変わるため、協調しているヒトの「気づかい」を捉えられれば個人差に対応した協調の評価やアシストが可能ではないか?と考え、研究を行っています。

「気づかい」の推定手法

これまでの研究成果では、2人の協調作業に着目して「気づかい」を推定するシステムを構築したり、推定した「気づかい」を解析することで、協調特性を明らかにしてきました。また、「気づかい」から有効な「気づかい」と無効な「気づかい」を分ける手法を提案し、無効な「気づかい」を低減させることで作業パフォーマンスを向上させるアシストシステムを構築しました。

「気づかい」を用いた協調作業アシスト

現在は、これまで2人までの協調作業に対して行っていた研究を2人以上に拡張して研究を行っています。協調作業に参加する人数が増加することで発生する影響や特性などを解析し、アシストシステムを構築することを目指しています。

主な発表論文

  • G. Sasaki and H. Igarashi: “Assist System Considering Cooperative Skills Improves Performance in Dyadic Interaction,” 2021 IEEE 30th International Symposium on Industrial Electronics (ISIE), pp. 1-6, 2021/6/21. DOI: 10.1109/ISIE45552.2021.9576184
  • G. Sasaki and H. Igarashi: “Investigate Physical Human Interaction Key Factor using Cooperative Model,” The 2020 RISP International Workshop on Nonlinear Circuits, Communications and Signal Processing (NCSP’20), pp. 202-205, 2020/2/29.
  • G. Sasaki and H. Igarashi: “Temporal Analysis of CFO in Cooperative Task for Teamwork Assist,” IECON 2018 – 44th Annual Conference of the IEEE Industrial Electronics Society, pp. 5487-5492, 2018. DOI: 10.1109/IECON.2018.8592882
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